「いたか?!」
男の怒鳴る声と共に足音が二階になだれ込む。
そして、僕らの部屋の入り口に兵隊のような格好をした男が一人入ってきた。
「いました!!こちらです!!」
**
僕は、そっとしゃがみこむとバイオリンケースを床に置き演奏の準備に取り掛かった。
正直これで治せるなんて思わないけれどカンナの笑顔を思い出す。
**僕が演奏中すごくはしゃいでいて、最後に
細い石造りの階段を上りきるとさらに細い廊下が建物の終わりまで続いていた。
両端には扉のない部屋の入り口がいくつもある。
**メグサに続いて僕、ジニア、アリノミ、そして玄関にいたホクシア
細い路地を暫く歩いたところで古びた長屋のような住宅がいくつも続く場所へ出た。
家の作りは玄関のドアがなく部屋の中は丸見えで、
**椅子に座ってこちらの様子を伺っている老人や、赤ん坊を抱
「待ってー!!」
そう叫びながら少年を追いかけた。少年は人ごみを縫うように走り抜けどんどん先へと進んでいく。
なんとか見失わないように少年の後を続く。
** やがて少年は小さな
広場にバイオリンの音色が響き渡った。
人々は聞きなれない音色に足をとめてその音楽のほうへ顔を向ける。
優しく甘い音色はその場の空気の色さえも変えていった。
**女の子も目を丸
しまった!一番聞いてはいけない質問をしてしまったようだ。
黙り込んでみるみるうちに女の子の表情は沈んでいく。
「ご…ごめん!あ…えと、お茶良かったらもっと飲んで良いよ!」
**
様子を見ていると本当に買い物をしているようにしか見えない。
これが映画の撮影なんだろうか?お腹すいた…。
**市場の中では肉や魚のようなものも売っていておいしそうなにおいが漂ってくる。
何時間歩き続けただろう。
もう足の神経が麻痺して棒のようだ。
だが、次の瞬間その目の前に広がる光景を目の当たりにし一切の疲れが吹っ飛ぶ。
町を見つけたのだ。
**小
どれくらい歩いただろうか。
少なくとも1時間以上は歩いていると思うが。
途中道の横で座って休憩しては歩き出しの繰り返しを続けるも一向に景色がかわることはない。
** ただ、振
あれから一体どれくらいの時が流れたのだろうか…
木々のざわめきが心地よすぎてずいぶんと眠ってしまっていたのではないだろうか。
気がつくと僕は林の中で仰向けになって倒れていた。
「じゃあ、竹人君が部室を出たのは十七時ごろで間違いないんですね?」
黒い手帳をもったスーツ姿の男に確認を求められ横瀬桜倉は再び頷いてみせた。
**「…はい…全員が射川君が退室したのを
っかしいなぁ…。
羽鳥翼から教えられた小道をずいぶんと歩くが一向に出口らしきものが見えずもう十五分ほど林の中を彷徨っている。
**どこか途中で道を間違えたのか…とにかく早くしないとバ
5時を回ったところで僕は個人レッスンを理由に途中で部活の席を外した。
本当なら部活動は6時まで行われる。だがレッスンも6時からだ。最後までやっていたら当然間に合わない。
**片手でか
「え!本当に探したの?!」
放課後、音楽室にて。桜倉先輩が目を丸くして僕たちを見下ろしていた。
「はい。でも鳥とか蛇しか見つからなくて。その石像って“人”なんですよね?」
*
中等部校舎の裏庭にはかなりたくさんの木々や葉が生い茂っていてちょっとした雑木林が点在していた。
そもそもこの学園の敷地が広すぎるのだ。
**幼稚舎から大学までの大半がひとつの広い敷地
「え?」
「え?じゃなくてさぁ、だからね?その石像が中等部敷地内のどこかにあるって話だってば。」
** 昼休み。食堂で温かいうどんをすすっていると入間が弁当のエビフライを箸で持ち上げな
やがて乗っていた電車は学校の最寄り駅に着くと大勢の通勤通学客をプラットホームに吐き出し次の駅へと急ぐように出発していった。
「よぉ!射川!」
** 人ごみの中、肩をぽんとたたかれ振
玄関の扉を開けると、今朝窓に切り取られていた景色の、何倍も美しい新緑の景色が視界いっぱいに広がっていた。
**暑くもなく寒くもない、ちょうど良い陽気の中、木々が波音のようなざわめきをたてな
「おはよう。良く眠れた?」
焼きたての目玉焼きをフライパンからお皿に移し変えながら母、かすみがにこりと微笑んだ。
「おはよ。」
横目でちらりと母の存在を確認すると温かい食事が用意されたテーブルについた