そういいながら巾着を僕に手渡したので同じように光の種を空に撒いてみせる。
するとそれはキラキラと舞い、土に落ちて発芽を始めた。
「明後日くらいには開花するんだろうけどなぁ…葉も綺麗だが花も本当に綺麗でね…
見せて上げられないのが本当に残念だよ」
「いや…これだけでも十分満足だよ!
僕の世界にこんな綺麗な植物ないからね」
そう言っている間にも光花の芽は少しずつ伸び葉を増やし続けている。
光花が無事発芽したのを見届け僕らは食事をはじめた。
アキレスが次々にいろいろな料理を運んでくる。
「ねぇ、よかったらアキレスも一緒にどう?いいよね?」
イネ=ノの顔を見た。
「そうだね。人数が多いほうが賑やかでいい」
「ではお言葉に甘えて…」
円形のテーブルを3人が囲う。
「それでね、入間がその犬に油性ペンでまゆ毛書いちゃってさ!!」
気がつくと食卓は楽しげな笑い声に包まれていた。
話題はもっぱら入間がやらかした事や話した内容など。
「本当にユーモラスな方だ。私とは大違いですね」
そういいながらアキレスはサラダを一口食べる。
「本当だよ。入間がいると本当に笑いが溢れる、というよりも止まらなくなるんだ。
奴と出会ってから僕はいつも笑い転げてばかりだよ!」
大げさに両手を広げてみせる。
「で?その犬はどうなったの」
イネ=ノが笑い混じりに聞く。
「それがね、結局飼うことになったんだけどその犬につけた名前が“ずんだ虫”!」
「アハハハハ!犬に虫って!!」
イネ=ノもアキレスも大爆笑だ。
と、突然イネ=ノの顔が青くなるのがわかった。
見るとイネ=ノの指輪がちかちかと点滅しながら光っている。
イネ=ノは勢いよく椅子から立ち上がるとちょっと失礼!と言って姿を煙のように消してしまった。
あまりに突然のことで僕とアキレスをあんぐり口をあけたままイネ=ノがたった今まで座っていた席を見つめていた。
「…え?イネ=ノどうしたの?」
やっとのことで僕が口を開く。
「あ…おそらく…患者様の病状が悪化されたか何かだと…」
「え?ああ…そうか…」
指輪はナースコールのような役目も果たしているんだろうか。
「イネ=ノ様の事ですからたぶんご心配ありません。さぁ、それより食事を続けましょう」
そう言って僕のグラスに飲み物を継ぎ足してくれた。
そういえば言っていた。タブーは冒せないって。
死人を生き返らせる事はイネ=ノにとってタブーだ。
だから、そうなる前に手を打ってしまえば問題ない。
神様のイネ=ノならそれくらい出来るだろう。
本気を出せば死人を生き返らせることが出来るというのだから…。
「ところで竹人様…」
アキレスが椅子を座りなおして言った。
「今日キク=カ様の宮殿へお出かけになられた時うさぎを見たとおっしゃっておりましたが…」
「うさぎ?ああ…木のね。見たよ。」
「ほかに何か変わった事はありませんでしたか?」
「え?変わったこと…と言っても…僕にとってはこの世界の全てがそうだから…なんで?」
するとアキレスはちょっと困った顔をして目線を僕から逸らして見せた。
「キク=カのこと、アキレスも気になるんだ?」
「え?ああ…はい…勿論です。
もしあのお方に何かあれば十二星座は機能を失います。そうなったらどうなるのかと思うとぞっとして…」
「え?…十二星座の機能って?」
初めて聞く話だ。