「で、そのキク=カは予知能力があるって…僕がここに来るのも予知したんだよね」
「そう。
自分が希望することなら彼は何でも予知することが出来るらしい。ただ…」
そこでイネ=ノは言葉を切った。
どうしたんだろう。
さっきからなんだか辛そうだ…。
そこでふと思う。神のタブー、キク=カの病気、予知能力…もしかして…
「あの…僕が帰る方法も知っているんだよね?」
「え?…ああ、そうだよ。」
「どうやって帰るの?僕は正直どうやってこの世界に来たのか分からないんだ。」
「中心宮へ行くって話しだったよ。」
「中心宮?」
「星々の中心にある宮殿、って言ったらいいのかな?光を吸い込み、また光を生み出すところがあって場所でたまに次元にひずみが生じることもある。
それをうまく利用すれば帰れるとキク=カは言っていたが…」
何だろう…
光を吸い込むと聞いて真っ先にブラックホールを思い描いた。
だが、光を生み出すというのはどういうことだろう。
呼吸するみたいに光を吸ったり吐いたりしているのだろうか?
「すまない。少し疲れてしまったみたいだ。
竹人も今夜はゆっくり休んでくれ。明日は少し遠出をするから…」
そう言ってイネ=ノはすっと席から立ち上がると背を向けたと思った瞬間ふわりと姿が消えたではないか。
え?!
次いでお休みの言葉が降ってきた。
気がつくと僕はイネ=ノの返事をする前に自分の部屋に立っていた。
どうしたんだろう…仕事で疲れたのかな?キク=カのところまで行くのに少し遠いと言っていた。
その少し遠いところに先ほど往復したということだから……。
神様が少し遠いという表現を使うんだ。
きっとかなり遠いんだろう。
それにしても不思議な世界である。
神様も病気になったり疲れたり…大変だな…。