第七章:神様の僕(3-3)

「おかえりなさい」
そういいながら部屋の中に入り窓を閉めた。
「見ていてもいいんだよ?」
言いながらコートを脱いだ。
「ありがとう…あの…さっきはごめんなさい、話の途中で…」
僕の言葉が終わらないうちにイネ=ノはにこりと微笑みながら言った。
「いいんだよ。相当疲れていたみたいだしね。今夜もゆっくり眠るといい。」
その言葉にほっと安心する。
「綺麗な庭だね。花がすごいなぁ…」
「ありがとう。キク=カからもらった種をまいたらたくさん咲いてくれてね。僕としても嬉しいよ。
あ、そうそうキク=カがぜひ君に会いたいって。これおみやげ」
そういいながら小さなえんじ色の巾着を僕に手渡した。
どうやらキク=カのところへ行っていたらしい。
「開けてもいい?」
上目遣いでイネ=ノの表情をみた。
にこりと微笑みながらイネ=ノは頷いてみせる。
なんだろう…そっと巾着の紐を解く。
手のひらにそれを出してみるとキラキラと雪の結晶のように光の粒がこぼれ出た。
「わぁ…」
思わず声を漏らす。なんて綺麗なんだ…。
クリスタルガラスでできた金平糖のようなものがたくさん入っていた。
「これは何?」
「光(ひかり)花(ばな)の種だよ。植えればすぐに花をつけるんだ。
君が元の世界に戻るまで少しだけ時間がいるようだからその間に退屈しのぎにって。」
「光花…。どんな花が咲くんだろう。楽しみだなぁ」
聞いたことのない名前だがこんな綺麗な種だ。
きっと見たこともない美しい花を咲かせるのだろう。
「明日庭に撒いてみよう。
二日か三日くらいで開花するらしいよ」
「え?!そんなに早いの?」
ニコリと微笑むイネ=ノ。
何から何まで…本当にこちらの世界と僕のいた世界とでは勝手が違うようだ。
「そうだ…庭を見ていたんだけど…庭の先はどうなってるの?」
ベランダで感じた疑問をイネ=ノに問うた。
「ああ…ここね、浮いてるんだよ」
「へ?」
イネ=ノがあまりにもさらりというので一瞬理解できなかった。

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