第七章:神様の僕(2ー3)

「君が戸惑うのも無理ないだろう。だがどこから話すべきか少々悩んでいてね。君をなるべく動揺させたくはないのだが…」
カップをソーサーへと置く。
「なにか君から聞きたい事はあるかい?」
僕もイネ=ノについでカップをソーサーに置いた。
「あの…ここはどこなんですか?」
「ここは…君の世界で言うと、射手座ってわかるかい?」
「はい?…射手座…って星座のですか?」
ちなみに僕も射手座生まれだ。
「そう。この世界は君らの世界で言う星座の世界そのもの、なんだ。
それぞれの星座には守護神がいて星を守っている。
そして今いるここが射手座になるわけだ。」
「え…」
言葉を失う。
ファンタジーの世界はまだまだ続いているようだ。
「ちょっと信じがたいかもしれないが残念ながらこの世界ではこれが現実なんだ。
僕から言うと君たちの世界の方が信じられないくらいだよ。
これでおあいこって事にしておこう。」
「僕のいる世界を知っているんですか?」
「ああ…違う次元に存在する世界。
その世界にはいくつもの神がいてそれぞれの信仰対象者の拠り所になっている。
だが実際に姿を現す事はなくこの世界から比べるとかなりあいまいな存在だね。
君の世界は人類が惑星の中心的存在となりさまざまな発展を遂げている。かなり興味深いね。」
「この世界では神様は実在しているんですか?」
するとイネ=ノはまたにこりと微笑んで見せた。
「そうさ。それは現に今、君の目の前にもいる」
「え?……まさか…あなたも神様なんですか?」
「“イネ=ノでいいよ。
そう。
僕は射手座を守護する神として存在している。」
思わず言葉を失う。
正直その話を完全に飲み込むには少し時間がいりそうだ。
それに、神様ってそんな簡単に人の前に姿を現していいものなんだろうか?
なんとなく神々しさがなくなってしまうような気がした。
だが先ほど半馬人から人の姿に変わったり…
そういうのは神だからこそ成せる業なのかもしれない。
「あの…僕はもとの世界に戻る事はできるのでしょうか?」
この世界にきて一番知りたかった質問だ。
「そうだね。
君は帰るべきだ。
だが私一人の力ではどうにもできない。
君に会わせたい人物がいてね、その人物が君の事をいろいろと教えてくれたのも事実なんだ」
「え?」
「君がくるのを僕は前もって知っていた。これに見覚えがないかい?」
イネ=ノの手のひらに光が生まれたと思うと次の瞬間、中からふわりと一羽の蝶が現われた。
「あ!」
この蝶は!!一番最初、この世界へ来たときに会った蝶だ!ガラスのように透き通った桜色の羽。間違いない。

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